[小休止]
「ミラー、今夜はどうする?」
――問うたのは、長い黒髪の女性、聖術師のシーラである。
「今から出れば、次の町に着けるんじゃない?」
小さな村の入口に佇む二人の上から、やや傾いた陽の光が照らしている。隣に立っていた魔術師のミラーは返事をした。
「……うーん。ここにもう一泊するのはどうかな?」
「えー、この村に?」
いつもと違う反応に驚いたのはシーラだ。驚いて聞き返す。
透明な秋の風が通り過ぎる。ミラーの答えは単純だった。
「たまには立ち止まるのもいいんじゃないかな?」
「そうかー……そうね。ずいぶん歩いてきたものね」
道は、シーラたちの前にも後ろにも遙かに長く続いている。
そして二人は村に一泊し、のんびりと疲れを癒したのだった。
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