[朝の詩]
ふと目が醒める。旅先の部屋は冷え切っていた。
布団に身体をうずめたまま、顔だけを起こす。部屋は薄暗かったが、カーテンの隙間から、まばゆい光がちらちらと湧き水のように流れ出している。
吐き出す息の白さを感じながら、布団の外の空気の冷たさを予想する。かつては優美だったが今は少しくたびれた赤茶色のカーテンは、裏側から真新しい光に照らされている。
頭は不思議なほど冴え、ゆうべの疲れは眠りのぬるま湯に浸かていたうちに、砂糖のように溶けてなくなっていた。わたしは布団を静かに押し退けた。
朝の鋭利な空気は、一呼吸遅れてわたしの身体を捉え、つつみこんだ。だが、それは私の予想していたよりも幾らか優しいように思えた。
しばらく清らかな空気を飲んでいるちに、身体が冷えてきた。上半身を起こし、身体をずらして両手をベッドにつき、それから立ち上がる。
新しい一日は外から内側に向かって流れてくる。私は迷いなく、しっかりと意志を持って歩き出した――窓辺を目指して。
カーテンを引き、窓を開ける。
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窓を開けよう
まぶしさに目を細めて
怖がらないで
きっと、遠くまで見渡せるから
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