「これはッ?」
これはッ……。
これはッ……。
声を発すると、私の閉じ込められたシャボン玉の中に、同じ声が何重にも響いた。
「何だって」
何だって……。
何だって……。
言葉は反響するが、大きくなることがない反面、消えることもなく響き続けている。
頭が痛む。だが、うめき声を飲み込んだ。そうすれば音が増える一方になるのに気づいたからだ。俺は頭を抑え、膝をつく。
「時間が止まるとはこういうことなのだぞ。これが、御前の望む状態なのだ」
別の声が響いた。それはしっかりと消えたが、そのあとにはさっきの俺の声がしつこく残り続けていた。どこにも行けずに。
これはッ……。
何だって……。
何だって……。
これはッ……。
「うう」
頭をかかえ、俺はうめいてしまった。
これはッ……。
うう。
何だって……。
これはッ……。
うう。
何だって……。
これはッ……。
うう。
うう。
これはッ……。
何だって……。
俺は苦悩の末に、こう答えるのがやっとだった。
「わかった……」
すると、次の瞬間、シャボン玉が割れた――。
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