2006年 9月

 
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2006年 9月の幻想断片です。

曜日

気分

 

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  9月30日− 


(準備中)
 


  9月29日− 


(準備中)
 


  9月28日− 


 真綿のように
 白くかがやく――

 見上げた雲は
 大きな銀河


 光を浴びて
 今朝もきらめく――

 葉っぱの滴は
 小さな星団


2006/09/28
 


  9月27日− 


(準備中)
 


  9月26日− 


 真っ青な空を映している
 ガラスの壁のビルの間を通り

 水たまりを跳び越える瞬間
 青空の中を歩いているみたい

 ゆらゆら揺れる水面に
 かすかな笑顔を浮かべて――

 足元の鏡がやがて消えても
 青空を見たら思い出して

 思い描く鏡の向こうに
 あの頃の微笑みを
 


  9月25日− 


(準備中)
 


  9月24日− 


[飛翔]

「あ、鳥さん!」
 妹のリンローナが指差した。
 青空の見渡せる、ちょっと広々とした場所で。

 でも鳴き声も羽音もしないし、姿も見えない。
「どこよ?」
 私は妹に尋ねた。
 すると妹はまぶしそうに目を細め、空を指し示す。
「お姉ちゃん、ほら、あそこだよ」

「あっ」
 確かに〈鳥〉は、そこにいた。
 私は、軽くうなずく。


2006/09/24
 


  9月23日− 


 速い風に煽られながら
 青空に三本の線がたたずむ
 高らかな秋の雲と
 灰色の濃い積乱雲が交錯する

 分岐してから最初の駅が
 都と町との境目にあるのに
 どこか似ている


 道さえあれば
 遠回りしても
 いつかたどり着けるよ

 道はどこへでも
 繋がっているから
 


  9月22日− 


(準備中)
 


  9月21日− 


(準備中)

2006/09/21
 


  9月20日− 


リリア皇女のソネット]

 馬車の中から見ていた
 すれ違う世界は
 通り過ぎる人たちは
 私と交わることはない

 向こうはこちらへ
 私は向こうへ
 ぶつかることも
 ともに歩むこともなく

 どこまでも交わらず
 ねじれたまま
 今宵もひとり

 古の塔に登って
 月の光を絡み取り
 星の雫を掬い取り
 


  9月19日− 


(準備中)
 


  9月18日− 


 美しい和音は
 どこか森に似ている

 音の流れは
  川のように
  波のように
  風のように
  星のように
  鳥の歌声のように
  月の瞬きのように
 優しく

 時に
  焔のように
  吹雪のように
  鋭い言葉のように
  感情の渦のように
 強く

 ある時は儚く
 そして気高く

 不協和音と
 調和とを繰り返しながら

 大空のかなたへ
 海原の奥までも
 響き渡ってゆく――
 


  9月17日− 


[風の約束]

 青空から降り注ぐ太陽の光は暖かかったが、雲の流れは速く、日が陰ると驚くほど涼しい風が吹いた。さきほどから吹いていた強い風が、緩やかな斜面に一面に広がっている草を揺らしていた。草は波のように首を垂れ、黄金の丸い実を揺らした。

「飛んでけっ!」
 彼女は両手を口に当てて、叫んだ。

 強い風に抗しきれなくて。
 あるいは、自らの意志で――なのだろうか。
 一つ、二つと、小さな実はついに風に乗って旅立ち始めた。

 その数は次第に増えてゆく。
 崖を越えて、つづら折りの山道を見下ろしながら。
 谷間の町の方へゆっくりと吸い込まれてゆく。
 雲に出たり入ったり、気まぐれな陽の光を浴びて、きらめく。
 大地を離れた草の実の流れは、あたかも黄金の雪だった。

「よ〜し、あたしも力になる。いくよ!」
 彼女がその場で身軽に飛び上がり、くすんだ黄色のブラウスの袖と焦げ茶色のスカートの裾がはためいた次の瞬間――。
 そこに居たはずの華奢な姿は、見えなくなっていた。

 新しい風が野原を駆け下りて、草の実を摘み、通り抜けた。
 たくさんの黄金の実を抱え、遠い平野の町に届けるために。

 彼女は秋風の一部であった。
 そして、秋風もまた、彼女の一部であったのだ。
 


  9月16日− 


(準備中)
 


  9月15日− 


(準備中)
 


  9月14日− 


[涼風の置き手紙]

 赤に     
 黄色に    
 野原は染まり 
 遥かに見渡す 
 時空の広さ  
 眩しい夕陽と 
 林檎の実   


2005/11/03
 


  9月13日− 


(準備中)
 


  9月12日− 


 真っ暗な夜の海に、小舟に乗って漕ぎ出して。
 長い間、揺られていました。

 いつしかそこは、星の海でした。
 金の島、銀の島を遠くに見ながら、
 いま、星の海を渡ります――。
 


  9月11日− 


(準備中)
 


  9月10日− 


(準備中)
 


  9月 9日− 


(休載)
 


  9月 8日− 


(準備中)
 


  9月 7日− 


[空の葉]

 光の精の踊る
 まぶしき白い空から
 舞い降りて来た
 黒い影の葉っぱ

 秋の始まりに
 もう紅葉(もみじ)かなと
 利き腕を伸ばし
 掌に載せて

 輝きに浸せば
 精霊の魔力が
 仮の色を剥がして

 光の精の力が
 真の色に染めて

 永く望んでいた
 澄み切った晴れの
 青い木の葉になる
 


  9月 6日− 


(準備中)
 


  9月 5日− 


(準備中)
 


  9月 4日− 


(準備中)
 


  9月 3日− 


(休載)
 


  9月 2日− 


 壁に映っていたのは
 橙色の窓だった

 丁寧な四角が映し出され
 暖かく沸き上がる

 位置が移動してゆき
 早まった日没の中で
 色を失い

 壁の窓も閉じられた
 


  9月 1日− 


(準備中)
 




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