2007年 2月の幻想断片です。
曜日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
天 |
土 |
夢 |
気分 |
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× |
△ |
− |
○ |
◎ |
☆ |
2月28日− |
澄んだ青空は
思い出に続く窓
この青空の下で
かつて行った“あの場所”の
懐かしい景色は
どう佇んでいるのだろう――
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2月27日− |
桜の樹は、今ごろは
桃色を作っているのかな
次の季節を待つ青空の下で
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2月26日− |
夕焼けの名残が
西の空にかかっていました
帰り道の空の色もまた
季節の染め物の色なのでしょう
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2月25日− |
薄曇りの空の下で
吹き渡る風は冷たい
青い空を懐かしんで
諸々の隔たりを思う
遠い空の向こうでも
確実に時は動いている
また会えるだろうか
生きてさえいれば、きっと――
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2月24日− |
すごい速さの飛行機雲は
飛んだ後に道ができる
すぐに消えてしまうけど
人の歩く山道は
切り開くのに時間がかかる
けれども長く残るのだ
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2月23日− |
一日のうち
一瞬のひととき
カーテンの影が壁に映る
向こうの家の窓に
夕日が入り込んで
その光が届けられる
輝けるときは
短いけれど
それはまた、必ずめぐって来る
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2月22日− |
西の月は少しまどろみ
明るい目を細めていた
月が一巡りする頃には
きっと空気もまどろんで
春の夜の妖しの霧が
花びらの間を漂うだろう
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2月21日− |
老木の枝が折れ
傷口が拡がったとしても
そこから新しい芽を――
夢を生むことができる
太陽と土と水と
強い気持ちさえあれば
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2月18日− |
夕焼け空を前にすると
何もかもが
黒いシルエットに変わる
生き続ける者も
朽ちてゆく者も
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2月17日− |
風は駆け抜ける
山を乗り越えて
海を飛び越えて
風は駆け抜ける
何かを求めているのか
ただひたすら駆けているのか
それは分からないが
風は風と手を携え
妨害を気にする様子もなく
駆けている
駆け抜ける
それだけでいい
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2月16日− |
春は
花からやってくる
あの角の向こうから
甘い匂いが漂ってくる
春は
鼻からやってくる
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2月15日− |
蒼い海原と
青い大空に抱かれて
足元には
白い雪の大地
遥か空には
白い雲の大地
視界は無限に拡がり
境界は曖昧になる
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2月14日− |
あの花は残っているだろうか
突風と雨に耐えているだろうか
あの小さな白い花たちは
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2月13日− |
雪の服に着替えた
山裾は拡がる
雪空は今は遠く
青い空はどこまでも続く
凛と張り詰めた空気の中に
力強い美しさがある
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2月12日− |
白樺の林はなだらかに続き、針葉樹の木々は緑の葉に雪の傘をかぶっている。梢から覗く空は、優しく鮮やかで深く澄んだ青色に輝く。枝先を縫って雪道を照らす光は、強く明るかった。
両足のかんじきを操り、馴れた様子で深い雪を踏みしめて歩いていた妹のシルキアが、ふと足を止めた。やや元気のない樹の幹に近づき、顔を寄せる。そして振り返り、姉に呼びかけた。
「お姉ちゃーん、ここにも空いてるよー」
くまげらの空けたきれいな四角の穴を指さして、シルキアは言った。厚手の上着と手袋、頭には帽子をかぶって家を出たが、いつしか身体は火照り、汗をかくほどだった。サミス村を後にして山の方に進み、森に入り、雪道を上り下りしていたからだ。
やや遅れていた姉のファルナが、追いついてきて答える。
「いま、行きますよんっ」
雪道にはたくさんの小さな足跡が残っている。人が通れないようなところにも足跡は続いていたが、ファルナは人が歩ける道を慎重に選びながら進んでいく。かんじきを上げるたびに、ゆうべ降った新雪の粉がふわりと舞った。雲の群れが中央山脈にぶつかり、中腹にあるサミス村の一帯には良質の雪が降る。
やがて姉は追いつき、妹と一緒にくまげらの巣を眺めた。雪の積もる白樺の林は、光と影がきらきらと交錯する。熊が冬眠している銀世界は、青空のもと、どこまでも続く遊び場だった。
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2月11日− |
白樺の林の
周りよりも低いところが
昔日の栄光を遺すのみ
人に忘れられた、その地にも
雪は降り、花が咲き
分け隔てなく四季はめぐる
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2月 9日− |
メラロール王国の南西部は例年に増して暖かかった。
「灰色の雲に実がなって、
真っ白い雪を降らせ、
町を塗り替えてゆく――」
そこに住む若者が言う。
「どうやら、そうなるよりも先に、
今年は新しい花が咲いて、
花びらの雪が降り積もるらしいよ」
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2月 8日− |
月を知るには、何の花が咲いてるか。
日を知るならば、どの樹に咲くか。
それが季節のカレンダーです。
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2月 7日− |
ほらね、とっても固いつぼみで
柔らかな花を守ってる
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2月 6日− |
真冬に咲く梅の花には
ほら
次の季節の色が見えるよ
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2月 5日− |
世界は
色々な目を持っている
空を翔ける鳥
川面をゆく魚
花や樹や
光や風すらも
時の流れとともに
優しく見ていてくれる
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2月 4日△ |
カーテンの隙間から
朝の光が手を伸ばす
冬場は光も凍えてて
家の中が恋しいのかな
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2月 3日− |
あんな冷たい風なのに、
洗濯鋏は楽しそう。
カタカタおしゃべりしていたよ。
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2月 2日− |
色んな方に光を目指し、
複雑に枝を伸ばしても、
しっかり立ってる樹の不思議。
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2月 1日− |
枯れ葉の海に
栗の子、ぷかぷか浮かんでる。
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