2012年 5月の幻想断片です。
曜日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
天 |
土 |
夢 |
気分 |
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× |
△ |
− |
○ |
◎ |
☆ |
5月27日− |
風が強く、木の葉がざわざわと揺れる。
日が陰ると、森の中は急に薄暗く、陰気になった。
「ジーナちゃん、ちょっと怖いね」
後ろを振り向いてから言ったリュアは凍りつき、その場に立ちすくんだ。友達のジーナの姿が忽然と消えていたからだ――。
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5月24日− |
[ルデリアの空の下で(4)]
白樺の林に小さな泉がある。それは銀色の泉だった。
「鏡みたい」
「お皿みたいなのだっ」
そう言ったのは、サミス村の宿屋兼酒場〈すずらん亭〉の二人娘、妹のシルキアと姉のファルナだ
「ケン坊は何に見える?」
「んー、そうだなぁ……」
ドルケン少年が考えるそばで、村の賢者のオーヴェルは穏やかに微笑んでいた。
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5月21日− |
[昼間が夜に仕える時]
「朝に月光術の集まりがあるって、本当ですか?」
十四歳の月光術師見習いのクルクは、エリオンに尋ねた。
「ええ、本当ですよ。急に分かったのです」
助手のエリオン青年が答えた。精霊界から魔獣を召還する月光術は、夜にこそ花開くものだ。それも満月になればなるほど、効果が大きくなる。昼に集まるなんて聞いたことがなかった。
「耳を疑っちゃった」
月光術師の村に住む駆け出しの術師、少女クルクは大きな瞳をまばたきした。エリオン青年は声を一段ひそめて語った。
「欠ける太陽……昼間が夜に仕える時が来るのです」
月が太陽を隠していく――それは日蝕のことだった。
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5月18日− |
[ルデリアの空の下で(1)]
朝の真新しい光が降り注いでいる。
大きな花に腰かけていたのは、背中に翼の生えた半透明の妖精だった。斜め上を見上げていた妖精は、ちょうど吹き始めた軽やかな風を捉えると、翼をはためかせて舞い上がった――。
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