2013年 4月

 
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2013年 4月の幻想断片です。

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  4月30日− 


[交錯の時]

 深い針葉樹の森を見守るように、薄蒼の空が拡がっている。冴えた春風に乗って、低い灰色の雪雲が漂っていた。
 地上では、雪の欠片と白い花びらが混じり合いながら飛んでゆく。山奥の村の通りを歩いていた姉妹がはしゃいだ。
「こっちは雪!」
 妹のシルキアがひとひらの冷たい結晶を掌に掬い取り、姉のファルナは早春に咲いて散った花びらの温もりを握りしめる。
「こっちはお花なのだっ!」

 柵に沿って緑のベアラオフの葉が開き、すずらんに似た花を咲かせている。もう少し経てば、食卓にはホワイトアスパラガスが並ぶ。既に右手を伸ばしている春の女神〈アルミス〉が、中央山脈の麓のサミス村を優しく包み込むまで、あともう少しだ。

ファルナ シルキア
 


  4月28日− 


[四コマ]

 窓辺に赤い花が揺れている。
 近づいてみると、微かな、凛と張った匂いがする。
 花を植えたあの子は、今は遠い町で歌っている。
 元気だろうか。
 






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