翌日、旅の宿をあとにする。 再び街道を歩き始めた冒険者たち。 「それでね……」 リンローナは、横で歩いているケレンスに話しかける。 いつも通りの明るく、元気な笑顔で。 昨日の涙がまるで嘘のようだ。 「ねえケレンス、国立闘技場のこと、覚えてる?」 「ああ。バイトだろ?」 「そうそう。係員のアルバイト」 「冒険者は『何でも屋』だからなあ……」 まだ風は冷たい、北国の三月。 リンローナたちは、メラロール郊外の国立闘技場で 二度目のアルバイトを経験した。 「とにかく、寒かったよねー」 「支給されたユニフォーム、相当薄かったぜ」 「うん、うん」 「弁当はひどい味だった」 「今度は、あたしが美味しいお弁当を作ってあげる!」 思い出話で盛り上がる二人。 「……あの頃、懐かしいわね」 二人の前を歩いていたシェリアが、静かにつぶやいた。 ケレンスはすかさず一言。 「歳を取るのは早いよな」 「そ・れ・だ・け・は! 言わないでちょうだい。……うぅ〜」 シェリアは下を向き、苦悩のうなり声をあげた。
★STORYs-ルデリアの全体像

