(C)Ryo Akizuki
KeY: 出店

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 街の中央広場にはいくつかの出店が所狭しと並んでいる。

「お嬢ちゃんたち、飴はいらないかい?」

 飴売り商人が話しかけてきた。

「あたし、ほしい」

 ちっちゃなリンローナが言った。

「じゃあ、三十レックになるよ」

「リンローナ、行くわよ」

 シェリアが手を引っ張った。

「え? お姉ちゃん、どうして?」

 その場から離れてから、こそこそ声で姉が言う。

「あたしたち、お金、持ってないでしょお?」

「おかね? おかねってなあに?」

 リンローナはまだお金の概念を理解できない。

「俺が買ってくるよ」

「え、ルーグ?」

 ルーグはとことこ歩いていくと、大きな飴を二本買ってきた。

「わあい、うれしいなあ」

 リンローナは大喜び。

「もう一本はシェリアにあげる」

「え? 本当にいいの?」

「うん。あげる」

「ルーグ、ごめんね。本当にありがとう! 

 ほら、リンローナもルーグにお礼言わなきゃ駄目でしょ」

「うん。……ルーグ、ありがとう!」

「どういたしまして」



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