街の中央広場にはいくつかの出店が所狭しと並んでいる。 「お嬢ちゃんたち、飴はいらないかい?」 飴売り商人が話しかけてきた。 「あたし、ほしい」 ちっちゃなリンローナが言った。 「じゃあ、三十レックになるよ」 「リンローナ、行くわよ」 シェリアが手を引っ張った。 「え? お姉ちゃん、どうして?」 その場から離れてから、こそこそ声で姉が言う。 「あたしたち、お金、持ってないでしょお?」 「おかね? おかねってなあに?」 リンローナはまだお金の概念を理解できない。 「俺が買ってくるよ」 「え、ルーグ?」 ルーグはとことこ歩いていくと、大きな飴を二本買ってきた。 「わあい、うれしいなあ」 リンローナは大喜び。 「もう一本はシェリアにあげる」 「え? 本当にいいの?」 「うん。あげる」 「ルーグ、ごめんね。本当にありがとう! ほら、リンローナもルーグにお礼言わなきゃ駄目でしょ」 「うん。……ルーグ、ありがとう!」 「どういたしまして」
★STORYs-ルデリアの全体像

