(C)Ryo Akizuki
KeY: 冷や汗

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「さすが、世界最大の文化都市ね」

 立派な国立闘技場を横目に、シェリアが感心して言った。

 このメラロール市は、北辺の大国である「メラロール連合王国」の首都だ。

 国王クライク・ラディアベルク、

 王妃シザミル・ラディアベルクが住んでいる。

 ……その二人の間には、シルリナという王女がいる。

「シルリナ王女って、本当にすごい人らしいね。

 若くて美しくて、そのうえ頭脳明晰なんだって」

 うらやましそうにリンローナが言った。

 ルーグは流れる雲を見上げ、遠くの街に思いを馳せる。

「……南の国には、おてんば王女がいるという噂を聞く。

 それと正反対に、シルリナ王女は本当にすばらしい女性らしい」

 王女をほめるルーグの言葉に、シェリアは少し気を悪くした。

「そんなの迷信よ!」

 だがその時、周りの白い目に気がつき、彼女はあわてて付け加える。

「……って言う奴は大馬鹿ね」

 冷や汗をたらしながらもシェリアは平静を装い、

 ぎくしゃくした動きで裏通りへと歩いてゆく。

「?」

「お姉ちゃん、どこに行くの?」

「……ふぅぅぅぅ〜」

 壁にもたれかかり、大げさにため息をつくシェリア。

 リンローナは心配そうに訊ねる。

「どうしたの?」

「どうしたも、こうしたもないわよ。

 シルリナ王女って、本気で尊敬されてるのね。

 さっき、通行人みんなから睨まれて、怖かった……。

 ルーグも、言葉には気をつけた方がいいわよ」

「ああ」

「あたしも気をつけるね!」

 顔面蒼白の姉と裏腹に、リンローナは明るく笑った。
 


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