魔術師は、手品なのか魔法なのか……とにかく不思議な術を披露する。 次々と沸き起こる歓声。 「すごーい!」 リンローナたちも、それに魅了されていた。 楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、魔術師はショーの終わりを告げる。 小さな白い皿に、お金が投げ込まれる。 魔術師は盛んに拍手を浴び、礼を繰り返していた。 「アンコール見たい!」 シェリアが甲高い声で叫ぶ。 すると、観客のあちこちから「アンコール!」という言葉が飛び出した。 それが大きなうねりとなり、最高潮に達した頃。 魔術師がぱちんと指を鳴らすと、彼の目の前に細長い筒が現れた。 聴衆はしいんと黙り、魔術師はその筒に語りかける。 拡声器の類らしく、彼のささやきが辺りに響きわたる。 「本日はありがとうございます。 たくさんの方に来ていただき、評価され、感謝の気持ちでいっぱいです。 これからも私の芸をご覧いただけると幸いです。 それでは期待にお応えして、ちょっとしたアンコールをひとつ……。 本日の締めくくりとさせていただきます」 「やった!」 ルーグは嬉しそうに叫ぶ。 「わあい、わあい」 リンローナも楽しそうに笑っていた。 大きな声援と拍手の中で、魔術師は再び右手を掲げる……。
★STORYs-ルデリアの全体像

