■ さらば国鉄583系電車 ■

  - 目次 -

 (1) 583系・715系・419系との遭遇記録
 
 (2) 静態保存車・譲渡車
 

 国鉄583系電車は、昭和40年代の高度経済成長期を支えた特急電車でした。
 昼は通常の特急、夜は寝台特急として、東北地方から九州まで縦横無尽に活躍しました。

 私は583系の寝台電車に乗ったことはなく、近郊電車に改造された715系・419系の方になじみがありました。
 関東の私鉄沿線に住む私が実車を見かけることは滅多にありませんでしたが、大柄の車体が放つ独特の重厚な存在感は“電車特急の王者”としての貫禄があり、逢うたびに畏敬の念を抱いていました。
 2010年代に入り、改造された419系も含めて風前の灯火となっており、先行きが懸念されました。

 2016年夏、会津地方で583系の臨時列車が走ることになり、もう一度会いたいと思って切符を予約したものの、残念ながら入手できませんでした。そのまま縁はなく、翌2017年4月に完全引退しました。


 ■ (1) 583系・715系・419系との遭遇記録 ■

[1989/08/12]
 583系・特急はくつる(上野駅)

 私が撮った中で最も古い583系の写真です。
 小学校の夏休み、お盆に上野駅へ行ったのだと思います。普段、鉄道車輌を撮影する趣味はありませんでしたが、この時は寝台列車や特急列車を数多く撮影しました。私鉄沿線の小学生にとって、JRの寝台特急はまぶしい存在でした。

[1989/08/12]
 583系・特急ゆうづる(上野駅)
 おそらく、ゆうづる2号・4号(早朝6:40頃?)

 寝台特急「ゆうづる」の並びです。まだ583系が数多く活躍していた頃です。
 ゆうづる号は常磐線・水戸経由、はくつる号は東北本線・仙台経由で、ともに青森を目指しました。

 この頃、多客期の上野駅や東京駅には次々と寝台列車が到着しました。夜行バスが発展していなかった時代です。

[1990/01/02]
 715系(東北本線・福島駅)

 JRになったばかりの仙台周辺では、583系電車を近郊向けに改造した715系を見かけました。
 実際に乗る機会があり、寝台電車の特徴を残す独特の内部構造は強い印象を受けました。

 同様の経緯で誕生したJR西日本の419系は2010年代まで残りましたが、JR東日本の715系は1998年までに消滅しました。

[1991/01/04]
 583系・急行きたぐに(新潟駅)

 大阪と新潟を結ぶ「急行きたぐに」は、当時、583系の原色で走っていました。

 この後、私はしばらく鉄道趣味から離れました。

[2004/03/13 / 08:25]
 583系(JR信越本線・脇野田駅)

 黒姫ゆきスキー列車「シュプール号」の回送列車と思われます。急行「きたぐに」の編成でした。

 かつて隆盛したシュプール号ですが、2005年度限りで廃止されました。

 この写真は脇野田駅と思われます。今では新幹線の接続する上越妙高駅となり、移転しました。

[2004/08/12 / 08:51]
 419系(JR北陸本線・糸魚川駅)

 北陸では“食パン”419系を良く見かけました。

 中間車を先頭車に改造したため、独特の形状になりました。

 ムーンライト信州号で南小谷⇒糸魚川。
 金沢経由で、のと鉄道・蛸島駅を目指しました。

[2006/08/10 / 16:17]
 419系(JR北陸本線・福井駅)

 583系の先頭車を活かして改造した419系(右)と、いわゆる“食パン”419系(左)との並びです。

 右側は特急電車の愛称表示部分が残っており、元の583系の状態に近いように見えました。

[2006/08/10 / 18:52]
 419系(JR北陸本線・新疋田駅)

 この時は“食パン”さんのお世話になりました。

[2006/08/10 / 18:54]
 419系(JR北陸本線・新疋田駅)

 反対側は国鉄特急っぽい顔でした。

 特急通過待ちの時間で撮影。

[2006/08/10 / 19:08]
 419系(JR北陸本線)

 もう使われることのない寝台です。

 この電車は長浜ゆきでした。この時、直流区間は長浜以南だったと思います。
 その後、敦賀駅までが直流電化になりました。

[2008/03/23 / 10:41]
 419系(JR北陸本線・直江津駅)

 この頃、北陸地方に遠征することが何度かあり、最晩年の419系にお世話になりました。
 特急の愛称表示部分は埋められていました。

[2008/03/23 / 10:42]
 419系(JR北陸本線・直江津駅)

 419系のトップナンバー、クハ419-1でした。

[2008/03/23 / 10:43]
 419系(JR北陸本線・直江津駅)

 特急時代の面影を残す側面です。

 北陸新幹線の開業後、春日山方面・谷浜方面は「えちごトキめき鉄道」に移管されました。

[2008/07/20 / 16:53]
 583系(会津若松駅)

 原色の「動く」583系を見たのは、おそらくこの時が最後だったと思います。会津地方では、しばしば臨時列車として583系が走っていたようです。

[2008/08/11 / 08:17]
 419系(JR北陸本線)

 2扉・ボックスシートの短編成。お盆の時期でしたが、朝の通勤時間帯は混雑していました。
 ボックスシート自体は広かったです。583系が寝台電車として活躍した頃、ボックスシートから更に座席を引き出して下段ベッドにしたようです。

[2008/08/11 / 09:50]
 419系(JR北陸本線・滑川駅)

 私が“食パン電車”に乗った最後の機会だったと思います。滑川駅で降りました。

[2010/07/01 / 08:37]
 583系・急行きたぐに(新潟駅)

 583系の最後の定期優等列車だった「急行きたぐに」は、大阪と新潟を北陸経由で結びました。

 新潟出張中、少し早起きして見に行きました。

[2010/07/01 / 08:37]
 583系・急行きたぐに(新潟駅)

 急行きたぐに・ヘッドマーク

[2010/07/01 / 08:39]
 583系・急行きたぐに(新潟駅)

 グリーン車を連結していました。
 急行のグリーン車は、今やレアです。

[2010/07/01 / 08:43]
 583系・急行きたぐに(新潟駅)

 The 編成美。

[2010/07/01 / 08:48]
 583系・急行きたぐに(新潟駅)

 だいぶくたびれていましたが、長い編成に最盛期の貫禄を感じました。

 2012年3月「急行きたぐに」が臨時列車化。
 2013年1月「急行きたぐに」が廃止。
 JR西日本から引退しました。

 2017年4月8日、JR東日本の583系も引退。
 長い間、お疲れ様でした。


 ■ (2) 静態保存車・譲渡車 ■

[2001/05/26]
 583系(仁宇布駅跡)

 日本一赤字ローカル線だった、北海道の「美幸(びこう)線・仁宇布(ニウプ)駅」跡は、鉄道廃線をエンジン付きの車輌で走れる「トロッコ王国」として生まれ変わりました。
 北海道と無縁だった583系電車が1両、なぜかぽつんと置いてありました。
 車番はサハネ581-19です。

 終点の北見枝幸駅まで着工されたものの、開業できず“未成線”となりました。

[2001/05/26]
 583系(仁宇布駅跡)

 別の角度から。

 かつての赤字ローカル線の終着駅。
 短いホームでした。
 こちらは1985年まで運行された美深方面。

 仁宇布は村上春樹氏の小説『羊をめぐる冒険』のモデル地の一つという説があります。

[2001/09/30]
 583系(仁宇布駅跡)

 4ヶ月後に再訪しました。

 看板「トロッコ王国」の文字に注目。
 コは復活し、ロが落ちています……。

 あまり車輌状態は良くない感じでした。

[2002/09/15]
 583系(仁宇布駅跡)

 翌年、3度目の訪問です。

 再び「コ」が欠落。
 なかなか全部そろいません。
 わざとじゃないですよね……!?

[2003/09/22 / 10:57]
 583系(仁宇布駅跡)

 更に翌年。美深町の観光施設の目玉として成長した「トロッコ王国美深」の4度目の訪問時です。

 車庫(整備工場?)が完成し、583系は仁宇布駅跡の片隅に移動していました。哀愁が漂います。

[2004/09/16 / 16:09]
 583系(仁宇布駅跡)

 また翌年。5度目の訪問時です。
 583系の位置は昨年と同じようでした。

 歌登駅・北見枝幸駅方面の“未成線”の風景です。北見枝幸駅まで57.5km、着工率100%ながら、未開通に終わりました。

 この583系は、美幸線を走った(動いた?)唯一の“特急型車輌”と思われます。

[2009/09/20 / 13:35]
 583系(仁宇布駅跡)

 通算6度目の「トロッコ王国美深」です。
 5年ぶりの訪問となりました。

 車庫が拡張されました。
 583系の存在感は薄いです……。

 9月の仁宇布は毎回天候に恵まれました。

[2009/09/20 / 13:37]
 583系(仁宇布駅跡)

 かなりボロボロの状態でした……。

[2006/05/05 / 14:10]
 583系(九州鉄道記念館)

 北九州市・門司港駅付近の「九州鉄道記念館」では、クハネ581-8が静態保存されています。
 寝台特急「月光」は新大阪〜博多、のちに岡山〜博多・西鹿児島間を結んだようです。

 583系(581系)自体が「月光形電車」という異称もありますので、縁の深い列車愛称です。
 こちらの保存状態は非常に良いです。