[暗がり森]
その森は〈暗がり森〉と呼ばれていて、鬱蒼と木々が生い茂り、いつでも光が届かなかった。日中でもランプが必要だ。
細くて長い木の枝たちは、まるで光を遮ること自体を目的としているかのように、混沌と複雑に、縦横無尽に伸びていた。
「こりゃ、巨大な洞窟みたいなもんだな」
ケレンスが腕組みし、感心したような、それでいて呆れたような口調で言うと、女魔術師のシェリアが真面目な顔で呟いた。
「魔力を感じるわ。そんなに強くはないけど」
「道は細い。一列になって進もう」
ルーグの指示に、後ろにいたタックとリンローナは頷いた。
「ええ」「うん」
諜報者ギルド所属のタックが先頭になってランプを掲げ、戦士のルーグ、魔術師のシェリア、聖術師のリンローナ、そしてしんがりの剣術士のケレンスという〈いつもの〉隊列を組み、五人は冷ややかな風の吹く〈暗がり森〉に足を踏み入れたのだった。
|