[冷たくも温かい目覚め]
「ん……」
リュナンはふと目を開いた。部屋は薄ぼんやりと明るく、夢から醒めて現実に近づく意識の中で、夜が過ぎた事を体感する。
部屋はしんとして黙し、しんしんと冷えていた。上半身を起こすと、カーテンの隙間から縦に洩れる光の筋道に気がついた。
その時――。
「つめて〜っ!」
「やったな!」
突然の子供たちの歓声が、リュナンの関心を引きつけた。毛布を肩まで引き寄せたまま、耳を傾ける。
「雪だー!」
少女の喜びの叫びが、明快な答えを示していた。
「出てみようかな」
恋する毛布に別れを告げて、リュナンはベッドから降り立ち、片側のカーテンを引いた。
「積もったんだ……」
リュナンの声は静かな感動に彩られていた。まぶしい光の渦と、曇った窓の向こうに、まばゆい白い街が見えた――。
パジャマの上に温かな上着を羽織り、少女は目をこすりながら階段を降りて食事室に入った。パンのいい匂いがする。
「おはよう」
声をかけたリュナンに、母は優しく答えた。
「おはよう。自分で起きたのね」
「雪が、起こしてくれたよ」
満ち足りた様子のリュナンは、静かに椅子を引くのだった。
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