2013年10月の幻想断片です。
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10月28日− |
[雲宿る朱の刻(2)]
(前回)
仰ぎ見た空は、黄色と藍色が混じり、地平線に近い方は紅に染まっていた。吐息を編んだような雲が、空全体に複雑で繊細な模様を描いていた。太陽もその糸のような雲の中に抱かれ、鈍い輝きを保ち、ぼんやりと朱の光を秘めていた。
「間に合った。夕焼けに」
ファルナの視線は天の高みを巡っていた。妹はうなずいた。
「赤々と染まる夕陽じゃないけど、こういう夕暮れもいいね」
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10月27日○ |
[雲宿る朱の刻(1)]
秋の陽は傾いて、木々の陰は黒く長く伸び、梢に見え隠れする空は黄金色だった。乾いた風が落ち葉を揺らしていた。
上り坂は緩やかに果て、森は途切れた。
「間に合ったね」
少し先に行っていた妹のシルキアが立ち止まり、姉の方を振り向いた。夕焼け空を背景に、相手は黒い影になっている。
「お〜」
姉のファルナは、栗の実を入れた篭をそっと足元に置き、後ろ手に組んだ。軽くつま先立ちをして、肩の力をすっと抜いた。
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