(C)Ryo Akizuki
KeY: 思い出

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「短い間だったけど、楽しかった。

 こちらこそ、どうもありがとう!」

 リンローナは大きく手を振った。

 見送りは宿屋の娘、娘の父・母・妹の合計四人。

 赤屋根の素朴な宿屋が、だんだんと小さくなってゆく。

「見えなくなったね……」

「出会いがあれば、必ず別れもある」

 ルーグは唇をかみしめる。

「別れがあるから、新しい出会いがあるのよね」

 シェリアが言った。

「でも、いつかまた会えるといいな。あの姉妹に」

 宿屋の娘と、その妹。

 姉はのんびり屋で、妹はしっかり者だった。

「……彼女たちも多分、僕らと同じ考えでしょう。

 お互いに信じていれば、『いつか』は必ずやって来ると思います」

「もし実際に会えなくても、思い出の中で会えるぜ」

 タックとケレンスが言った。

 リンローナはしっかりと前を向く。

「いつまでも悲しんでいるわけにはいかないんだね。

 ……でも、別れが悲しいのは、楽しかった証拠。

 これからもみんなで、いい思い出作っていこうよ」

「そうですね」「ああ」「そうね」「そうだな」

 五人の手が重なる。



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夏の水    (未定)

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