「涼しーい……」 リンローナはぶるっと震えた。 「もう一枚羽織ってくればよかったなあ」 もともと体格の小さいリンローナは 身を縮めてさらに小さくなり、 静かにレンガ道を歩き始めた。 サミス村は朝靄(あさもや)に包まれている。 畑も家々も、その向こうにある森も……。 「おはよう、お嬢ちゃん」 井戸水を汲んでいる、村のおばさんが言った。 リンローナは一度立ち止まり、挨拶をする。 「おはようございます。……とっても涼しいですね!」 「風邪を煩わないように気ぃつけなさいよ、旅の人」 「ありがとう」 リンローナは散歩を続ける。 「ちょっと走ろうかな……」 冷えた身体を暖めよう。 リンローナはジョギングを始めた。 軽い足音、はずむ息。
★STORYs-ルデリアの全体像

