(C)Ryo Akizuki
KeY: 散歩

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 姉を起こさぬよう静かに着替え、リンローナは部屋を出る。

 この宿は二階が寝室、一階が食堂になっている。

 階段をとことこと降りる。

「おはようございまーす」

 厨房で朝食を作っている、宿の娘に挨拶をした。

 リンローナよりも年下だが、かなりしっかりしている。

 彼女はにこやかに笑い、挨拶を返した。

「おはようございます。……早いですね」

「下から、いい匂いがしたんだもん」
 
「……リンローナさんって、お料理上手なんですか?」

「え、誰に聞いたの?」

「昨日の夜、ケレンスさんに」

「……もう、ケレンスったら余計なこと言うんだから」

「『リンの料理は最高だぜえ……』って。

 ケレンスさん、ちょっと酔ってましたよ」

「夜はこの食堂、酒場になるんだよね。

 昨日はお客さん、多かったね」

「はい。おかげさまで」

 その時、娘の姉が二階から降りてきた。申し訳なさそうに言う。

「朝食まで、もう少しかかりそうですよん。ごめんなさい」

 リンローナは首を横に振った。

「ううん、平気だよ。それにあたし以外、まだ誰も起きてないし」

「そうですね」

 宿の娘がうなずく。

「あたし、ちょっと散歩してくるね」

 リンローナは木のドアを開け、表に出た。



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朝 靄    朝 露

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