「おいリン、目が赤いぞ」 「え?」 次の朝。ケレンスに言われ、リンローナは手鏡を覗いた。 「……ほんとだ」 ついでに髪を整える。 ケレンスは目を丸くして、まじまじとリンローナを見た。 「珍しいな、お前が髪をいじってるなんて」 「え? ひどいよ。あたしだって、たまには気にするんだから」 「『たまには』だろ?」 「……そうかもね」 「リンは基本的に、地味だよな」 「アクセサリーとか、あんまり好きじゃないの」 「お前、本当に女か?」 「……」 「シェリアと姉妹なんて、信じられねーぜ」 「昔からよく言われるよ……」 「姉はあんなに派手好きなのになあ」 「じゃあケレンスは、あたしも派手にしたらいいと思ってるの?」 「……いや」 「じゃあ、何なの?」 「今、派手になったリンを想像しちまった。不気味だ……」 「不気味!」 リンローナは怒って、ケレンスを叩こうと拳をあげる。 すばしっこいケレンスは、するりとかわす。 ついに追いかけっこが始まった。 「やっぱし、お前は今のままがいいや!」 ケレンスは、逃げながらこう叫んだ。 ジグザグに走り去るケレンスを遠くから見て、 リンローナは嬉しそうに笑った。 「……ケレンスのバカーっ!」
★STORYs-ルデリアの全体像

