(C)Ryo Akizuki
KeY: 捜し物

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 ナミリアはぶどう酒の瓶をさっと隠す。

「ちょっとお父さん! 私の部屋に入る時はノックぐらいしてよ」

「すまんな、ナミリア。……ん? お友達が来てるのか?」

「はじめまして、リンローナ・ラサラです」

「君がリンローナちゃんか。はじめまして。君の話はよく耳にするよ」

「どんな話ですか?」

「成績は優秀だし、気だてもいい……と。

 うちの娘がお世話になってるね。ありがとう」

「あたしの方こそ、ナミにはいつも迷惑かけっぱなしです」

「とんでもない。……これからも仲良くしてやってくれ」

「もちろんです!」

「お父さん、ところで何の用?」

 ナミリアが訊ねると、父は頭をかいた。

「いや、ちょっと捜し物を」

「何を捜してるの?」

「……多分、この部屋にはないだろうな。

 じゃ、リンローナちゃん、ごゆっくり」

「はいっ!」

 父は首をかしげ、部屋を出ていった。

 廊下から、彼の声がする。

「……俺のワイン、どこへいっちまったんだろう?」



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