ナミリアはぶどう酒の瓶をさっと隠す。 「ちょっとお父さん! 私の部屋に入る時はノックぐらいしてよ」 「すまんな、ナミリア。……ん? お友達が来てるのか?」 「はじめまして、リンローナ・ラサラです」 「君がリンローナちゃんか。はじめまして。君の話はよく耳にするよ」 「どんな話ですか?」 「成績は優秀だし、気だてもいい……と。 うちの娘がお世話になってるね。ありがとう」 「あたしの方こそ、ナミにはいつも迷惑かけっぱなしです」 「とんでもない。……これからも仲良くしてやってくれ」 「もちろんです!」 「お父さん、ところで何の用?」 ナミリアが訊ねると、父は頭をかいた。 「いや、ちょっと捜し物を」 「何を捜してるの?」 「……多分、この部屋にはないだろうな。 じゃ、リンローナちゃん、ごゆっくり」 「はいっ!」 父は首をかしげ、部屋を出ていった。 廊下から、彼の声がする。 「……俺のワイン、どこへいっちまったんだろう?」
★STORYs-ルデリアの全体像

