五人は広場に向かって歩いていく。 「水車の町だけあって、水が豊かだね」 リンローナがラーヌ河を指さした。 「水といえば、海の生活を思い出すわね」 シェリアがなつかしそうに言うと、ルーグは顔をしかめた。 「あれは辛かった。水に囲まれているのに、水不足なのだからな」 「飲み水か?」 ケレンスが訊ねると、それにはリンローナが答える。 「そうだよ。塩水はいくらでもあるけど、飲み水は貴重なの」 「僕は船に乗ったことはありませんが、大変そうですね」 今まで黙っていたタックが口を挟んだ。 ルーグは大きくうなずく。 「あの航海では、友人で船乗りのナホトメを、何度尊敬したことか……」 「あれっ?」 話の途中で、リンローナが突然、大声をあげた。 「どうした?」 「腰につけておいた水袋がなくなってる!」 タックは首をかしげた。 「落としたか、盗まれたか……ですね」 「さっきの男の子にでも、持って行かれたんじゃない? あんたが気を抜くからよ」 シェリアが言った。リンローナは弱り顔。 「高級な袋じゃないけど、大事にしてたから悔しいなあ」 「この町は治安が良いと聞いていたんですがね」 「運が悪かったな」 タックとケレンスが慰めた。 「冒険には絶対に必要なものだから、新しいのをを買わなきゃね」 リンローナは小さな財布を開けて、小銭を数えた。
★STORYs-ルデリアの全体像

