(C)Ryo Akizuki
KeY: 名産

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「……リンローナは、何を作るの?」

「あたしですか?」

「そう」

「まず、レーズンパンを焼きます」

「それから?」

「ほっかほかのホットケーキをつくって、その上にぶどうを乗っけます」

「うん」

「デザートは、よく冷やして置いた生のぶどう!」

「……」

「最後に、あまあいお茶を入れて出来上がり!」

「ぶどうばっかりね」

「ぶどうはこの辺の名産じゃあないですかっ、リナ先輩?」

「確かに、最近は収穫期で、値段も下がってるけど……」

「どうやって飽きさせない味付けをするか、が課題です」

「一つの食材にこだわるのって大変ね」

「はい。

 今まで、無難なものばかり作ってきたから、

 今度はもっと難しいのに挑戦しようと思ったんです」

「がんばってね」

「リナ先輩も!」

 ……そんな会話の間も、二人の手は休まることがなかった。

「葡萄酒が出てくれば、文句なしだね〜」

 横で聞いていた、リナと同級のチャネが言った。

 リンローナは思わず苦笑する。

「チャネ先輩、相変わらずお酒好きですねっ」

「リンローナだって、もう十三歳でしょ? お酒くらい飲めなきゃ駄目よ」

「お姉ちゃんからもよく言われてるんですよぉ」

「それはお姉ちゃんが正しい!」

「あたし、お酒苦手なんです」

「あんなに美味しいのに〜。もったいない」

 ルデリア世界に法律というものはない。

 当然、お酒の年齢制限もないのだ。

「そのうち、練習します」

「はぁ。あんたは真面目ねえ」

「ごめんなさい」

「謝ることはないわ。誉め言葉よ」

「ありがとう、先輩」

「ふふふっ」

 チャネは笑った。

「えへへ……」

 リンローナは頭をかいた。



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