(C)Ryo Akizuki
KeY: ため息

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 わずかな沈黙のあと。

「ふぅ〜」「ふぁ〜」

 二人は同時にため息をついた。

「ひどいよぉ、ナミ。あたしのせいにして……」

「ごめんごめん。これが最良の方法だったの」

「ナミにとって最良でも、あたしにとっては最悪の方法だよぅ」

「ごめんってば。ま、これでも飲んで気を落ち着かせて」

「またまた……」

「せっかくだから、飲んでよ」

 ナミリアは、リンローナのグラスにワインを注ぐ。

「これ以上飲んだら、本当に酔っぱらっちゃう」

「そんな事いわずに。お祝いなんだから。あと一杯だけ、ね」

「だーめ」

 リンローナは大げさに首に振った。

「わたしも飲むから。あと一杯でいいから」

 ナミリアは自分のグラスもぶどう酒で満たし、リンローナに勧める。

「仕切り直しってことで……」

「だめだってば。ほんとに」

 リンローナは断ったが、少し酔っぱらっているナミリアは承知しない。

「再乾杯っ!」

 ナミリアは勝手に、自分のワインを飲み干す。

 とろんとした目つきで、リンローナに語りかけるナミリア。

「とってもおいしいよ。お願い、リンも飲んで〜」

「……」

「お・ね・が・い!」

「しょうがないなあ……本当に一杯だけだからね」

「やった!」

 リンローナは静かにグラスを傾けるが、すぐに顔をしかめる。

「うわっ、濃いお酒だなあ〜」

「頑張れ、頑張れ、リンローナぁ! 応援するぞお」

「もう……」

 カタリ。

 しばらくして、床に空いたグラスが置かれる。

 顔を真っ赤にさせて、リンローナはしどろもどろに言う。

「今度は、ナミの番だよ〜う。飲んで、さっきの反省をしてね!」

 彼女は反撃とばかり、ナミリアのグラスにワインを注ぐが、

 手元が狂って床にこぼしてしまう。

 さすがのナミリアもこれには驚き、酔いが一気に醒めた。

「リン、大丈夫っ?」

「世界がまわるう。楽しいな〜」

 リンローナはその場に横たわり、眠ってしまう。

(とんだ祝賀会になっちゃった……)

 ワインを片づけながら、ナミリアは心からそう思った。



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