2013年11月

 
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2013年11月の幻想断片です。

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 11月27日− 


[秋はこの胸に]

「春は遠くに、秋はこの胸に」
 真面目な顔で心臓の辺りに両手を置き、サホは瞳を閉じた。それから相好を崩して茶化した。
「なーんてね」
「……分かる気がするなぁ」
 リュナンは気持ちよさそうに、柔らかな日差しの降り注ぐ青空を仰いだ。二人の少女はズィートオーブ市の旧市街に連なる並木道を歩いていた。風は少女たちのスカートを揺らし、髪をなびかせた。時折、黄色や紅に染まった木の葉を背中に乗せて。
「春は腕を広げるように、海から山へ、ずっと遠くまで広がっていくけど……秋は戻ってくる。季節が、ねむちゃんのところへ」
 居眠りが多く《ねむ》という愛称がついたリュナンは、自らをその名で呼んだ。きらきら光る木漏れ日に、サホは目を細めた。
「だんだん影が長くなって。やがて、冷たい風が吹きつけてさ。心で冷たさを受け止めきれなくなった日が、冬のはじまり」
 晩秋という季節が、二人の少女を詩人に仕立て上げた。
「春は遠くに放ち、秋はこの胸に宿る」
 リュナンがぽつりと呟いた言葉は、小さな風になった。

サホ リュナン(ねむ)
 


 11月24日− 


 懐かしい町は変わらずに
 今年も紅葉を迎えていた
 
 悠久の木々が羨ましくも
 人の時代はせわしなくて

 流れ去った時の中で
 この心は変わっただろうか
 変わっていないだろうか

 あの日の私が
 同じ木々を見上げていた

 
2013/11/24
 


 11月23日− 


[時空浪漫-01](作成途上)
 
 あの時 あの場所から
 新しい思い出 生まれた……
    
 
(参考)
 


 11月20日− 


[鼓動]

 別れと新たな旅立ちは
 生まれるときから
 人の生業なのだと気づく

 繰り返し寄せる波のように
 繰り返し打つ鼓動のように
 


 11月14日− 


 赤と黄色の夕焼け
 灰色の雲の地層の下に
 地球のマントルのように
 


 11月11日− 


 切り裂くような風が、冷たい夜を吹き抜けていた。
「風が刃を研いでるね」
 ドアを閉めると、隙間風は遠吠えのように叫んだ。
 彼らは獲物を求めて次々と去って行った。
 


 11月 1日− 


[蠢動]

 土の中で伸びてる芽は
 まだ見えないけど――

 芽はきっと、土の音を聞いてる
 みんなの踏みしめる足音を
 




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