「着いたあ」 タラップを降りる。潮風が涼しい。 リンローナは大きく息を吸った。 長い航海の末、ついに今日、船はメラロール港に接岸したのだ。 「長かったわね」 「ああ」 シェリアとルーグも感慨深げだ。 ……船長のミシロンは、積み荷降ろしの指示で忙しい。 彼とは、とある酒場で合流することになっている。 まだ時間があるので、リンローナたち三人は町中をぶらつくことにした。 レンガ作りの近代的な建物が並んでいる。 故郷のモニモニ街と違うのは、屋根の傾斜が急なことだった。 雪下ろしを楽にするための知恵なのだが、 雪を見たことのない三人には到底、想像もつかなかった。 ……シェリアがつぶやく。 「ルーグ。夢が、やっと叶うのね」 「いや、まだ決まったわけじゃないさ」 「騎士になれるといいね」 リンローナが口を挟むと、姉は彼女を睨み付けた。 「ルーグほどの実力があれば、なれるに決まってるじゃないの!」 「……うん」 リンローナは姉の迫力に負け、こう言わざるを得なかった。 ルーグは苦笑する。
★STORYs-ルデリアの全体像