(C)Ryo Akizuki
KeY: 航海

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 ……あれから十年。

 リンローナは今、海上にいる。

 父・ミシロンが運転する船にゆられて、

 姉のシェリアと、シェリアの男友達であるルーグと、

 北国へ向かう長い航海の途中だ。

 ルーグは、昔からメラロール王国の騎士になりたがっていた。

 その夢を実現するため……。

 ミシロンもたまたま、メラロール市へ貨物を運ぶという任務があった。

 そこで、一緒に行くことになった。シェリアもルーグについていくという。

 リンローナも当然、一緒に行きたいと思った。

 しかし、まだ魔法学院に通っている。その上、学費もすべて払い終わっている。

 メラロール王国に行くには、学院をやめなければならない。

 ……ミシロンは反対した。
 
 だがこの時、リンローナはかつて無いほどの抵抗をみせた。

 いつものリンローナとは別人のようだった。

 ルーグもシェリアも説得しようとしたが、駄目だった。

「勝手にしなさい!」

 父親はついに観念した。

 こうして、リンローナは海の上にいるわけだ。

 思い返すと、どうしてあんなに抵抗したのか、自分でもよくわからない。

「何か見えない力が、あたしを呼んだのかな?」

 リンローナはそう考えることにした。



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船 上    接 岸

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