「かんぱーい!」 グラスの合わさる、かちんという軽い音が響く。 今日はナミリアの家で、進級のお祝い会。 ……お祝い会といっても、結局は二人だけなのだが。 リンローナはほっとした顔で、ぶどうジュースを口にした。 「でも、本当に受かって良かったなあ」 「何よー、リン。何だかんだいっても、いつもいい成績じゃないの!」 「そんなことないよ」 「うらやましいな。ほんと」 ナミリアはため息をついた。 「……ところで、このぶどうジュース、何か変な味だよ?」 リンローナは首をかしげる。 「ぶどうジュース? 何言ってんの。ぶどう酒よ」 「ええーっ、ぶどう酒? あたし、まだ十三歳だよ?」 「平気平気。ん? リンローナぁー、顔、赤いぞー」 「熱くなって来ちゃった」 「ぶどう酒くらい、飲んだことあるでしょ?」 「ぜんぜん無いなあ。今日が初めてだよ」 「おいしい?」 「う〜ん……」 「とにかく、今日はじゃんじゃん飲んで、じゃんじゃん祝いましょ!」 その時だった。 ぎぃーっ。 部屋のドアが開き、その後ろから、 ……ナミリアの父が現れた。
★STORYs-ルデリアの全体像