「リンローナさん、待って下さい」 冒険仲間のタックだった。 「あれ、どうしたの?」 「僕も目が覚めてしまったんです。あまりにも涼しかったんで」 「じゃあ、ちょっと散歩しようよ」 「ええ、行きましょう」 二人は村の通りを歩き始めた。 「タックと散歩なんて、珍しいね」 「そうですね」 タックは、盗賊というイメージからほど遠い、不思議な青年だ。 丁寧な言葉遣い。冷静な判断と知識。 道で拾ったレンズのない眼鏡を気に入って、いつもかけている。 それでいて、性格が正反対のケレンスと、昔から仲良くやっている。 ……リンローナはそんなことを思いながら、彼に話しかけた。 「ほんとに涼しいね」 「涼しいを通り越して、寒いくらいです」 道が終わり、あとは野原が続く。 草の上には朝露ひとつ、 朝日を浴びて「きらり」と光る。
★STORYs-ルデリアの全体像

