暗い夜、だんだん強くなる風の音で目覚めたリンローナ。 「……ん?」 上半身だけ起きあがり、左右を見渡す。 「眠い。寝よう」 その時だった。 部屋のはじっこにある木のドアがゆっくりと開く。 ギギギギギィ……。 そして闇に浮かび上がる、ふたつの赤い眼。 「ひっ」 リンローナは怖くて、体中の筋肉が硬直した。 (ゆ……幽霊?) 旅先の宿で夜に……というのは、ありがちな怪談のパターンである。 (もしやこの宿、昔は墓場で……) 赤い眼が少し動いた感じがした。 (こっちに来ないで!) 声にならない声をあげるリンローナ。 残念ながら、それは少しずつ近づいてくる。 「!」 横で寝ているシェリアを、一生懸命に揺り動かす。 「……ん、ちゃん、お姉ちゃん!」
★STORYs-ルデリアの全体像

