ナミリアは隣の教室に走り、 若い魔術師の教授を呼んできた。 「ыλσбяΨ……シューヴェ!」 彼が呪文を唱えると、燃えさかる黒い石めがけて 指先から勢いよく水が飛んでいく。 「がんばって!」 リンローナたちは成り行きを見守る。 期待に応え、教授は別の呪文を詠唱する。 「ζξфэ∂刀c…クォールン!」 氷の矢が、次々と黒い石に突き刺さる。 強い冷気が、炎をも凍らせる。 「やったあ!」 「すごいぞ!」 生徒たちの間から歓声があがった。 若い教授は肩で息をしている。 「はぁはぁはぁ……」 「ありがとうございました!」 リンローナはお礼を言った。 魔術の教授はひとこと。 「とにかく、早く鎮火できて良かったですね。 ……魔術は攻撃的にみられがちですが、 正しい使い方をすれば人助けもできるのです。 それを忘れないように」 「よくやってくれた」 聖術演習担当の老教授が起きあがり、彼と握手する。 ……助っ人(すけっと)が去り、老教授は一人の女生徒を指さした。 「君の魔法は明らかに失敗だったぞ。 追試を行うので、あとで私の研究室に来るように」 「はあい。……みんな、迷惑をかけてごめんなさい」 彼女はぺこりと頭を下げた。 (防御の聖術も扱い方によっては危険だし、 攻撃の魔術もうまく使えば……。 魔法って難しいなあ) リンローナが、この演習を通して学んだこと。
★STORYs-ルデリアの全体像

