[冬空の下で]
上着を着込んで帽子をかぶり手袋をはめた完全防寒装備の二人の少女が、村外れの荒れ野に並んで立ちつくしていた。
「青空に吸い込まれそう……」
呟いたレイベル・クランディーの吐息は白く舞い上がった。大陸東部の奥、ナルダ村から仰ぎ見る冬空はどこまでも広い。
隣のナンナは思いきり息を吸い、おなかと頬を膨らませた。
「ふあっ」
限界に達したナンナは息を吐きだし、それから言った。
「ナンナは空を吸い込んじゃいたいな☆」
「!」
レイベルは驚いて息を飲み、黒い瞳を真ん丸にしたが、しだいに表情を緩めて微笑み、相手の考えに理解を示すのだった。
「それって、すごくナンナちゃんらしいね!」
「へへっ」
白い歯を見せて鼻の頭を押さえ、ナンナは嬉しそうに笑った。
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