春風に乗って、父の乗る船は徐々に遠ざかっていった。 親子三人は、一家の大黒柱を失い……。 何か物足りない生活が、再び始まるのだ。 「今日は風が強いね」 見送りの帰り道、幼いリンローナがつぶやいた。 「お父さん、行っちゃった」 シェリアは、がっくりと肩を落とす。 母は……。 母は、無理して子供たちに笑いかけた。 「大丈夫よ。 お父さん、お仕事が終わればちゃんと帰ってくるから。 きっと、きっと……」 終わりは、涙声になった。 「お母さん。ほら」 シェリアはポケットからハンカチを出し、母に渡した。 その、シェリアの瞳も潤んでいる。 ……お母さんも、お姉ちゃんも、つらいんだ。 リンローナはまだ四歳だったけれど、はっきりとそう感じた。 だからリンローナも悲しい気持ちになって、大声で泣いた。
★STORYs-ルデリアの全体像

